昔、取引所に立会場があったころ、仲立ち証券という証券会社がありました。
東証だと才取りさんが大証の仲立ちにあたります。
この仲立ち証券の方は、ある銘柄の注文を板に張り付けた紙に書いて集約・管理して、売り注文、買い注文が証券会社の場立ちさんから入ってきたら、板に管理した注文のうちもっとも優先するものと、証券会社の場立ちさんの注文とを対当させて約定させる、というお仕事をしておりました。
ある仲立ちさんはこんなことをやっていたらしいです。
板の注文が以下の状態のとき、仲立ちさんは400株の買い注文を証券会社の場立ちさんから受けました。
売り 価格 買い
100株 110円
100株 109円
100株 108円
100株 107円
106円 100株
106円 100株
106円 100株
106円 100株
その刹那、仲立ちさんは自己ポジションで107円、108円、109円の300株を全て買い、すぐさま110円で300株の売り注文を出しました。すると板の状態は以下に変化します。
売り 価格 買い
400株 110円
109円
108円
107円
106円 100株
106円 100株
106円 100株
106円 100株
証券会社の場立ちさんは、110円で400株を買う羽目になる、ということです。
仲立ちさんは、この瞬間のトレードで6円の利益、という具合です。
生保とか機関投資家の大口注文が入ったときに特においしかったとのことらしい・・・
これはいわゆるフロントランニングで、金商法で禁止されています。
が私が証券取引所に入った平成7年にはフロントランニング禁止規定なんて証取法にはなかったですので、全然おとがめなし、だったんですね。
今は、東証の売買は完全自動売買なのでこんなことはできません。
が、HFT業者ふくめ、金融機関はあの手この手でリスクをとらずに「仕組みで」儲けることを考えてますから、マーケットを利用する個人も自分の頭で考えて、身を守らねば、ですね。