最近、資産形成をするうえで「現金はゴミ」的な論調が増えてきている気がします。
私は、資産の裏付けのない信用だけで成り立っている通貨は、偽政者側が発行しがちになる構造問題があると思っていて、お金持ちになるためには「物持ち」になることが近道のように思います。「物」とは、株、土地、ビル、暗号資産、金、銀、プラチナ、農作物、原油などなど。数量が限られているもの。できれば自然由来で数量の上限にごまかしがきかないものがよいと思います。
※その意味では、株は新株発行できるし、暗号資産もコミュニティの同意で発行上限をかえられるだろうからちょっと弱い。でも金銀プラチナや原油も、保有するといっても現物が手元にあるわけではなく、アメリカの金庫に眠っている金の預かり証を持っているに過ぎないとか、原油ETFを買っても、モノがあるのはアメリカのタンクだったりして、問題はもろもろありますが、そこは制度をある程度信じて行動するしかない。
円やドルなどの「法定通貨持ち」はどんどん貧乏になっていく構造があると思います。
たとえば高金利にひかれて南アランドとかトルコリラで資産を持っていて、もし、南アの偽政者チームが通貨残高を今の倍にしようと決定して、通貨を現時点の残高と同数量発行したら、持ち分半分になってしまう、つまり他国の通貨発行残高が一定であれば、通貨の交換レートが半分に暴落してしまうという、高金利ではとても賄えない悲劇が起こりうる。購買力平価という理屈ですね。
資産の裏付けのない法定通貨持ちにとって怖いのは、偽政者の判断で発行量が倍になっても手続きちゃんとしていれば文句が言えない点。昨日まで発行残高1000兆円の1%を保有して左うちわをあおいでいたら、次の日発行残高が2000兆円になっていて、え、私の持ち分いきなり0.5%ですか?ということが起こりうる。日米の当局はそんな極端なことはやらないと思いますが、適宜、市民が喜ぶ形で行いますね。ただ、日本の当局は渋め、米国は大盤振る舞いの違いはあるように思います。
しかし、だからといって資産防衛のために法定通貨以外にベットしすぎると、大変なしっぺ返しが起こりうるので、法定通貨はレスペクトすべきと思います。
例えば、1990年の総量規制。
--『ウィキペディア(Wikipedia)』より--
総量規制(そうりょうきせい)とは、1990年(平成2年)3月27日に、当時の日本の大蔵省から金融機関に対して行われた行政指導。1991年(平成3年)12月に解除されるまで、約1年9ヶ月続いた。
大蔵省銀行局長通達「土地関連融資の抑制について」のうちの、不動産向け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑えることをいう。行き過ぎた不動産価格の高騰を沈静化させることを目的とする政策であった。
ところが予想をはるかに超えた急激な景気後退の打撃(いわゆるバブル崩壊)を日本経済にもたらし、さらにはその後の「失われた10年(20年・30年)」を日本に招来する要因の一つとなったことから、結果的にこの政策は失敗に終わる。この時の通達を出したのは、当時・大蔵省銀行局長の土田正顕。当時の大蔵大臣は橋本龍太郎であった。
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このあとどうなったか。
株や不動産などの物の価格は下落。
消費者物価は横ばいから少し上昇。(≒通貨の価値は徐々に下落)
為替レートは円が強くなる方向に。(他国通貨より円が相対的に強くなった)
日本債券信用銀行、日本長期信用銀行、山一證券、北海道銀行、おおきな金融機関がバタバタ倒れた。
つまり、金融引き締めはとても怖い、を肝に銘じておく必要があります。
1990年の金融引き締めの結果、日本では法定通貨を持っていることが最もパフォーマンスがよいことになりました。
円をもっていれば、12%の目減りですんだ。
株をもっていれば一時は80%目減りしたが、2012年以降の株高でようやく20%強の目減りですんだ。という感じです。
お上の動向には気をつけねばなりませんね。
ウィキペディアには書いてなかったですが、米国にいわれてやったことなんではないかな?マンハッタンのビルを買いあさるに及んで、日本よ、ちょっと調子乗りすぎって。
いずれにせよ、世界金融はアメリカ中心なのは間違いないから、日本のお上もそうですが、アメリカの動きに注視ですね。アウトサイダーはつらい。あとからわかることが多いですから。
アメリカでのインフレ率の上昇は、偽政者が市民に現金を配ったことが一因ですが、今度はインフレけしからんと市民が叫び始めて、これに偽政者が対応、金融引き締めでインフレを鎮静化させます、株価下落、みたいなシナリオには注意したいですね。