シストレをやるなら、絶対おすすめの書籍
「The Quants」スコット・パタースン
最近、自分の戦略の調子がよろしくないし、気分がいまいちなので、初心に帰ろうとパラパラと。
もう出だしから鼻息が荒くなりますよ。11ページから26ページまでで、ちょっとシストレとか金融周りに興味ある人だったら、瞬時に引き込まれると思います。
舞台は2006年3月8日、マンハッタン高級ホテル「セントレジス・ホテル」のベルサイユ・ルームで開催されるポーカー・ナイト・トーナメント。
大証の社員だったころにマンハッタン出張でいったんですが、当時のパスポートがあったので出張は2004年の2月と判明。32歳でした。時期はかぶってますな。いまは49歳で時間がたつのは早い。
プレイヤーは彼ら。
ピーター・ミュラー ・・・ モルガンスタンレーの社内ヘッジファンドPDT
ケン・グリフィン ・・・ シタデル・インベストメント
クリフ・アスネス ・・・AQRキャピタル・マネジメント
ボアズ・ワインシュタイン ・・・ドイツ銀行のデリバティブトレーダー
ジム・シモンズ ・・・ルネッサンス・テクノロジーズ
「彼らは狂信的ともいえるほどポーカーに取りつかれていた」
「それぞれがマーケットに打ち勝つ独自の戦略を持っていた」
「グルフィンは数式を使って割安な資産を見つけることが専門だった」
「ミュラーは、モルガンスタンレーの協力なコンピュータを駆使して株を超高速で売買するのを得意としていた」
「アスネスは何十年もさかのぼってマーケットトレンドをヒストリカルに分析し、だれも気づかないような隠れたパターンを見つけ出すことができた」
「ワインシュタインはデリバティブ(株や債券などの原資産からその価値が派生する商品)の天才だった。中でも特にクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)という最新のデリバティブに精通していた」
「得意とする取引のタイプが異なっても、この男たちにはそれよりずっと強力な共通点があった-つかまえようとすると逃げてしまう、この世のものとは思えない、壮大な、「あるもの」を追い求めていることだった。あるもの、それは時に、声を潜め、畏敬の念を込めた口調で語られる「ザ・トゥルース」だった。」
「ザ・トゥルース」とは、市場がどのような動きをするのかという普遍的な謎を解明することであり、数学を通じてしか解明できないものだった。市場のあいまいな動きを研究することによって導き出されるはずのザ・トゥルースは、何十億円もの利益をもたらすためのカギだった。
クオンツたちは、このとらえどころのないザ・トゥルースに名前をつけた。
それは「アルファ」
マーケットで常に勝ち続ける能力に恵まれた特定の個人だけがもつ、とらえどころのないスキルにつけられた暗号だった。
この暗号の対局には、もうひとつのギリシャ文字「ベータ」があった。アルファに対して、ベータはプレーンバニラの儲け、つまり脳みそが彼らの半分くらいしかない連通でも参加できる市場を意味していた。
しかし、クオンツたちが編み出すアルゴリズムの美には、とある不安が常に付きまとっていた。
この成功が、実は自分の能力によるものではないのではないか、という不安だ。もしかしたらこれはただの見掛けだおしの気まぐれの産物で、ある日突然運に見放されたら、なくなってしまうのではないか。
マーケットが本当は予測可能なんかじゃないとしたら?
ザ・トゥルースがけっして解明できないものだったら?
ワクワクしませんか?